令和3年度家庭医養成講演会の開催案内

日本プライマリ・ケア連合学会滋賀県支部会員の皆様
滋賀医科大学医学生の皆様
 新春の候 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、標記講演会を下記のとおり開催いたします。今年度につきましても、他の研修会同様新型コロナ
ウイルス感染防止のため、引き続きオンライン開催で実施いたします。  
 つきましては、下記7(Googleフォーム)により参加申込いただきますようお願い致します。
ご多忙の時期とは思いますが、是非ご参加くださいますようお願い申し上げます。
 なお、準備の都合がありますので、2月15日(火)までに申し込み頂くようお願いします。  敬具
                   記
1.開催日時 令和 4年 2月19日(土)15:00~17:00
2.開催場所 Web収録会場(ZOOMによるオンライン開催)
3.特別講師:松下 明 指導医先生(岡山県奈義ファミリークリニック所長)
4.タイトル:「岡山県での家庭医療の実践と教育 日本を変えるプライマリ・ケア」
5.内  容:日本の家庭医療の老舗でありフロントランナーである岡山家庭医療センター・奈義ファミリークリニック
      の所長である松下明先生をお呼びして、「がっぷり四つ型」とも言われている診療実践のコツと工夫、安全
      な失敗を重ねながら一歩一歩と成長の歩みを進めるような指導・教育方法とそのレジデンシーの特色の紹介、
      そして松下先生ならではの診療所のリーダーシップや多職種含めてのキャリア教育の取り組みなどをたっぷり
      お話しいただきます!確固たる基盤と先進的な取り組みから、広く深く学ぶ機会となること間違いなし!
       基調講演いただいた後、オンライン参加者との積極的な交流研修を図る。
6.スケジュール (Googleフォームに記載のとおり)
7.申込方法
  次のGoogleフォームから申し込んでください。
      
  (Googleフォーム)  
8.オンライン開催の視聴方法
  「Zoomにて開催(接続先は、参加者の登録されたメールアドレス宛にその都度別途ご連絡いたします)」    
                  
               日本プライマリ・ケア連合学会滋賀県支部
                   支 部 長  雨 森  正 記
                         (事務局 清水義平)

令和4219

 

「令和3年度家庭医養成講演会」実績報告書

 

主催:日本プライマリ・ケア連合学会滋賀県支部

 

 

 

1.概要

日本の家庭医療の老舗でありフロントランナーである岡山家庭医療センター・奈義ファミリークリニックの所長である松下明先生をお呼びして、「がっぷり四つ型」とも言われている診療実践のコツと工夫、安全な失敗を重ねながら一歩一歩と成長の歩みを進めるような指導・教育方法とそのレジデンシーの特色の紹介、そして松下先生ならではの診療所のリーダーシップや多職種含めてのキャリア教育の取り組みなどをたっぷりお話しいただきました。確固たる基盤と先進的な取り組みから、広く深く学ぶ機会となりました。

また、基調講演いただいた後オンライン参加者との積極的な交流機会を図ることにより、将来を見据えた充実した内容の養成講演会となり、大きな成果がありました。アンケート結果の詳細は別紙のとおりです。

2.講師

(敬称略)

・松下 明(岡山奈義ファミリークリニック)

・雨森正記(弓削メディカルクリニック)

・松井善典(浅井東診療所)

・中村琢弥(弓削メディカルクリニック)

3.実施日時

令和4219日(土)15時〜17

4.実施場所

オンライン開催

5.参加者

全視聴者28名(外部講師1名、指導医等17名、専攻医6名、薬剤師2名)

(医学生2名)

6.タイムスケジュール

15:00~15:05  開会挨拶 雨森正記 先生

15:05~16:25  講演「岡山県での家庭医療の実績と教育 日本を変えるプライマリ・ケア」

16:25~16:30  休 憩

16:30~16:55  参加者との交流時間「松下先生にきいてみよう!」

16:55~17:00  閉会挨拶 松井善典 先生・

終了後アンケート回答依頼     以上


  今回の講演会について良かった点、改善点などなんでも結構ですのでお願いします。
1 とてもよかったです。明日からの参考にさせていただきます。
2 ミシガンでの家庭医療研修の行動科学の話がきけてよかった。
3 医師以外のプライマリケア研修があるのを知ったのがよかったです。
4 非常に勉強になる講演会でした。
5 松下先生のご講演 具体的なお話が聞けてありがたかったです。
6 患者さんの情報の集め方、入り込み方、距離の取り方  興味深かったです。
7 実際の経験事例を用いたわかりやすい講演でした
8 色々と学びが深かったです。下に記載しておきます。
9 松下先生の自身の体験も踏まえたお話は説得力があり面白かったです。
10 学びしかなかったです。感動的でした。
11 特になし
12 松下先生の体験談、特にミシガン州での研修のお話で、問診の仕方に関して医者は話過ぎるという指摘に対して解決策を教えるだけでは患者さんの行動変容を促すには不十分であるという患者中心の考え方を知ることができて興味深かったです。
13 松下先生がなぜ家庭医を目指したのか、グレたに代表される松下先生にもそんな時期があったんだなというのも勇気に変わりました。
14 松下先生の生い立ち、たくさんのお仕事を聞かせていただきありがとうございました。
15 話し上手で声もよく、最初は落語のようだと思いました。演劇をやられていたというのでなるほどと思いました。家庭樹の考え方よく理解できました。普段の臨床をしていると忙しくてなかなか患者さんのバックグラウンドに入り込まないことも多いのですが、問題な患者さんには入り込むことも必要だと再認識しました。ご講演の最初の方でポインターが表示されていなかったように思いましたので、改善点と言えばそれぐらいです。あとは私が別の用事で最初から参加できなかったことが改善点です。
16 後半は事例紹介もありFDとは違った視点で楽しめました
17 松下先生の話が、理論と実践を交えて話されていて、とても参考になりました。
18 先生がご自身の体験をストーリーとして話してくださったので、まだ家庭医の現場を見たことがない学生でも、想像をすることができたのがとてもよかったです。
19 松下先生の語り、そしてチャットの議論や中山先生のお話を聴けて、とてもよかった。もっと学び、少しでも成長し
患者さんや地域のために働きたいと思った。
20 臨床心理士さんのシャドーイングのエピソードに感銘を受けました。フィードバックを大切に日々、診療、教育を行な
って行こうと思いました。
21 家族志向や、多職種のタッグに地域住民を巻きこむ方法など、いつ拝聴しても勉強になります。
22 松下先生の実際の事例がとてもよかった。薬剤師や看護師の研修について学べました。多くの参加者がビデオオフだったので、私もオフにしました。講師はビデオオンの方が話しやすいと思います。
23 質疑のフリータイムが少しハラハラしましたが、意見が出て良かったです。
24 僻地での家庭医グループ診療の創業に向けてもポリシー、経過がわかりよかった。
25 ゲストの松下先生のご講演をこんなにもゆっくり聞かせていただけること、とても貴重で、本当にありがたい機会でした。
26 松下先生のご講演をこんなにもゆっくりお聞きできて、とても貴重でありがたかったです。
27 端々から、松下先生からほとばしるものを感じることができた。

  講演の感想や今後滋賀県で取り組めそうなことを300字以上を目安にお願いします。
1 今回さまざまな形で地域での家庭医療総合診療の展開をきかせていただき、滋賀県でも実践できそうなヒントを多数いただきました。若い専攻医などにもとてもよい刺激になったのではないかと思います。今後のより発展的な取り組みを滋賀県でもおこなっていきたいとおもわせる内容でした。
2 この分野の先駆けのような先生が、どのような過程で医師を志したか、どのような部分に困難を感じ、それをどう乗り越えてきたか、という本筋ではなくイントロダクションの部分がとても勉強になった。このような内容が家庭医を志す若手が聞きたい内容な気がする。また、ミシガンでの行動科学でのフィードバックはとても我ごとのように思えた。「お前たちがすることは正解を投げかけることじゃないぞ、いい質問を投げかけ、本人から答えを引き出すのが仕事だ」という金言を得た。また、オランダの三角医療モデルのゼロラインという言葉を初めてきき、ここに関わっていきたいと感じた。
3 医師のみでなく、多職種チームで個人に関わることが大切とわかりますが、医師以外のスタッフがプライマリケアの勉強をする機会を知りませんでした。多職種研修はありますが、PC学会の枠くみで医師・看護師・薬剤師・CMなどロールプレイかできたらいいなと思いました。
4 今回の講演では、家庭医療の実践について具体的な事例なども含めながら話していただけて、非常にわかりやすく実践にすぐ使いたくなるようなものが多く、勉強になりました。他地域のプログラムでどのうようなことをされているのかはあまり知る機会がなく新鮮さがありました。また、医師だけの教育に限らず、看護師や薬剤師の教育へも取り組まれていたとういう話を聞いて、地域医療の特性として他職種との連携が重要であることを踏まえると、非常に重要なことであることを再度認識しました。今すぐにでも使えるようなノウハウやスキルなどを学ばせて頂ける講演で非常に勉強になりました。ありがとうございました。
5 これからも家庭医療の魅力を若い世代の人に伝えて多くの方の参入につなげてほしい。
6 松下先生の経歴・御活躍について拝聴した。家庭医療学で重要な生物社会心理モデルや患者中心の医療モデルを御経験された実際の症例を用いて教えてもらい、他にも専攻医の指導内容(振り返り方法やロールプレイでの症例検討)など教えてもらった。風景が動画で想像つくように問診して初めて共感という、という言葉が印象に残った。また超高齢化社会になり、認認夫婦などを支えるためには地域の人も一員になって行政・地域包括レベルで支えが必要であることを学んだ。高齢男性のひきこもり問題についての実際の取り組みも聞けて学びになった。家庭医は患者の人生に踏み込むことが多くいため、家庭医として成長するには純粋に歳を重ねて人生経験を積むということも必要と感じた。小さな成功体験を積んで行きたいと思う。そして指導医になった時には、専攻医に大きな火傷を負わせず小さな火傷で済むように、適宜フォローできるような指導医になれるよう努力していこうと思う。
7 多職種の教育というところで、看護・薬剤師などの方にももっと多くプライマリ・ケア学会に入ってもらって県全体の質向上につなげていけたらと思いました。
8 家庭医ができることの範囲、可能性を深く示していただきました。研鑽あるのみですが、未来と希望を感じました。ありがとうございます。目の前の臨床にがんばります。今後滋賀県で取り組めそうなこととしては、やはり家庭医療クリニック及び中核病院との連携、福祉施設、保健所、NPOなど持てる力の結集が大事だと思います。医療、予防、福祉はもはや県や自治体だけ、一病院だけでは維持は無理です。課題は複雑化し、人間関係は希薄化し、答えは一つに定まらず、死や生のあり方はより複雑になります。どこに答えがあるか、医師が答えを出す時代は終わりました。まず、リソースの洗い出し、先進県の事例の学習、隙間に落ちている困っている方、貧困の方をどこかにつなげること、それをして、医療者や福祉施設やシェルターのようなところも含めて協力していく必要があります。
9 1.家族を分析し、家族の中で医師としての立ち位置を意識的に選ぶ能力の養成は、非常に重要であるにもかかわらず、時間をかけて専攻医のような実務と責任がある立場になってから、指導者のフィードバックを得ながらでなければ体得できないため、そのような仕組み、指導医、養成の仕組みを滋賀県の中に、単一の医療機関を超えて作る必要があると感じました。2.一人の患者の喫煙や食事といった行動を変えるための土台となる一回一回の外来のコミュニケーションの鍛錬の仕方、鍛錬ができるような指導体制の構築が今後の課題だと思います。松下先生が経験されたような外来の録画+フィードバックというやり方は地域医療に与する人材だけでなく、高度医療機関で癌治療、遺伝子検査、出生前診断といったセンシティブかつ家族関係が影響するトピックについて面談に関わる医師が学ぶ機会がある方が良いと思われました。
10 滋賀県ではやはり岡山と違うと思ったのは大学の存在ではあると思いました。これはいろいろな意味で滋賀県は重要性も知りつつ頑張っても来つつ、結果だけみるとまだ成果が出ていないだけではありますが、大きく進む一歩でもあるんだなと思いました。そしてPC界隈で送れるとされる研究についても勉強しやすくなるので、一つ課題として他の県のモデルケースを知れました。滋賀県の他職種の研修は、現状すら知りませんが少なくとも人員が充足しているとは思えず、向上は必要だと感じています。
11 看護師や薬剤師などの育成を積極的に考えることが大事だと思います。地域をまきこんで健康を考えていきたいと思いました。
12 うちの場合、家庭医療のスタッフと病院総合医との連携がまだできていないように思います。また、専攻医も来ていません。来年も来ない予定です。学生や研修医を指導しているだけで精一杯なのが現状です。専攻医が来ればもう少し連携できるかと思っています。まずは、いつでも学生と研修医を受け入れる体制を維持しておきたいと思っています。
13 医師だけではなく、看護師、薬剤師などの教育にも力を入れておられるとのこと、素晴らしいと思いました。高齢化、老々介護など多くの問題に対応するためには家庭医学やfamily orientedの考え方が広く行われることが重要で、滋賀県でも取り組まれればと思いました。在宅医療に関しては、診療所に医師ひとりでは困難で、複数医師が在籍している診療所がスタンダードになればよいと思いますが、医師会との関連性もあり、すぐにはなかなか難しいかもしれません。薬剤師さんに関しては、現在一向に普及しないかかりつけ薬局を普及させることが必要ですし、病院としては、その次に入院時に必要な持参薬チェックやポリファーマシーの適正化もかかりつけ薬局でお願いできるとありがたいように思います。
14 総合診療医を目指すうえで、幅広く見れるという理想と、そこに立ち向かう現実、壁。それにどう向かい、どう乗り越えられて来たかを、松下先生個人の歴史と総合専門診療医の歴史に合わせてお話しされていて、かつ、理論とその実践を症例ベースで、Goodイベントだけでなく、BADイベントも混ぜて話されていたことは、総合診療医を目指す学生さんにはとても魅力的で分かりやすかったと思います。滋賀では、いろいろな状況にある研修施設・実地医療機関があるので、その多様性を生かした活動・連携をより可視化すれば、総合診療医専攻医と、学生、臓器別専門医にも見えやすくなれば、立ち位置やキャリア設計がしやすいのかなと思いました。具体案はないですが、。
15 今回、家庭医についての理解を深めたいと思い参加させていただきました。松下先生の患者やその家族との関わりに関する実体験や、最後に感想を言われた先生の体験談を聞き、そのシーンを想像すると自分の胸にもぐっと来るものがありました。そういったお話から、家庭医のあり方は、患者やその家族との心の距離が他の診療科の医師よりも近いように感じられ、改めて家庭医の魅力を感じました。
16 松下先生にはいつもお力をいただくばかりで、なかなか実行に移せず心苦しい思いで参加いたしました。学会の中で活動を始めておられる「薬剤師部会」につきまして、滋賀県支部でも取り組ませていただけますようお願いいたします。他職種とともに横断的な教育を受けることで、地域の臨床現場における広範の知識と技術の習得を図りたいと考えております。そのようなプロフェッショナルスキルを習得する目的で、地域医療における薬剤師レジデンシープログラムを構築出来ればと考えております。目標は、医師の診断に基づき、適正な薬物治療を推奨でき、かつ、地域住民の日常生活を考慮した薬物治療の設計を提案できる専門職の育成です。みなさまの前で宣言いたしましたので、後進を育て、薬剤師の専門性の向上に取り組んでまいります。お力をお貸しください。
17 地域で活躍したい医療職を、滋賀県内の事業所(診療所、訪問看護ステーション、薬局等)とマッチングする窓口の創設個人の医科・歯科診療所、訪問看護ステーションや薬局などでは、スタッフの確保やその後継者の育成が大切です。個人の事業所では情報発信が難しく、適切なスタッフの獲得が困難です。「求職者よし、事業所よし、地域よし」となるような、マッチング窓口はありがたい。
18 最後の話題に出た、薬剤師や看護師などの他職種の教育の実践ができればいいですね。実際に訪問診療に同行したり、外来の見学であったりと、ぜひいろんな方に診療所に来ていただきたいです。見学者がいろんな施設を周り、各施設の違いや良かったところのフィードバックをしていただけると、全体のレベルアップにつながると素敵ですね。
19 家庭医だけでなく、病院総合医を育てる取り組みを考えるべきではないかと思います。
20 松下先生の人間味あふれるご講演に聞き入りました。本当に貴重な時間でした。先生のキャリアについて初めて聞かせていただき、お若い頃の強い志が今も先生の支えになっているというお話は大変印象的でした。また以前松下先生のクリニックに見学へ行った際に、地域での取り組みを聞かせていただきましたが、今回さらに大学とどのように関わってこられたのかを聞かせていただき、クリニックで医学教育を行っていくのに大学との関係性が深いことがいかに重要かに気付かされました。総合診療の発展のためには、さまざまな関係機関の連携が重要であり、そのリーダーシップをとっていくことが求められると感じ、自分もその一つの歯車になれればと感じました。
21 松下先生の人間味あふれるご講演に聞き入りました。先生のキャリアも初めて聞かせていただき、お若い頃の強い志が今も先生の支えになっているというお話は大変印象的でした。また先生の語り口はまさに落語で、診察室の光景が目に浮かぶようでした。ロールプレイがコミュニケーションの学びにつながるとのお話も勉強になり、また自施設でも取り組んでみたいと思いました。専攻医指導についてのお話でも、コミュニケーションを大切にされている先生の細やかな姿勢に感銘を受けました。また家庭医の立ち位置、社会の中での有用性にも改めて気づかせていただきました。これを聞いていた医学生たちが、総合診療医のキャリアの魅力を感じてくれたこと間違いないと思います。
22 「患者の行動変容、患者の理解のためには、医師が話すよりも、患者から話を聴く姿勢が大事である」「共感は、映画を見ているようにありありと思い描けるぐらい理解できたら良い」ということを、身にしみて実感するような研修ができると良い(指導医も含め)。診療の質を高めるためには、医師のみでなく、他職種の研修もまた重要であり、看護師・薬剤師はじめ、他職種の研修も引き受けてみるのはいいと思う。具体例を挙げて、演劇風に症例をプレゼンすると、家庭医療の魅力は伝わりやすい。これを、地域活動としても卒前活動としても、もっと広く行えるといいと思う。家族志向型ケア、地域志向型ケアを、家庭医療の重要領域の一つとして社会(地域、行政、卒前教育)に広く伝えられるといい。