「第9回滋賀県在宅医療多職種キャリアアップ研究会開催要領」

                                       

 

1 主 催

       日本プライマリ・ケア連合学会滋賀県支部

 

2 目 的 

    今回のテーマは『~チームで解決、災害対応コンチェルト~ 災害と在宅医療』

地震を始め、気候変動による熱中症や自然災害が多発する昨今において、住民の健康、医療、生活を支えられる「多職種連携在宅ケアの拠点」が災害時にも機能します。

へき地医療に従事するまちの健康危機管理官として南海トラフ大地震対策やコロナクラスター対策にも取り組むとともに、住民、医療者および地元学生との交流活動を牽引し、まちづくりにも貢献している方をゲストに招き、地域との結びつき方を学び、チームによる災害と在宅医療を考えます。

包括ケアにおける医療・介護・福祉従事者などの様々な人が交流し、講演・各種体験を通じて日頃の悩みを共有し、意見交換を行い、より良い災害対応・在宅医療を提供することを目的に開催します。

 

3 後 援

    滋賀県・滋賀県医師会・滋賀県歯科医師会・滋賀県薬剤師会・滋賀県理学療法士会・滋賀県作業療法士会・滋賀県言語聴覚士会・滋賀県看護協会 ・滋賀県訪問看護ステーション連絡協議会・滋賀県栄養士会・滋賀県介護支援専門員連絡協議会・滋賀県歯科衛生士会

 

4 日 時

       令和5年(2023年)10月1日(日) 13:00~16:30

 

5 場 所

        現地 G-Netしが(滋賀県立男女共同参画センター)

 

6 参集者

県内および国内の医・看護学生および在宅医療に関する多職種の学生、県内および国内在宅医療に取り組む医師や指導医、多職種(歯科医師、

看護師、薬剤師、歯科衛生士、ケアマネージャー、理学療法士、作業療法士、ヘルパー等)、養成機関、行政関係者、その他多職種関係者

 

7 日 程

12:30~      受付・開場

13:00~13:05 開 会 あいさつ 雨森正記 滋賀県支部長

            あいさつ 滋賀県医療福祉推進課長 飯田朋子 氏

 

第1部 地域医療と防災でまちづくり 13:05~

「普段使いできる多職種連携在宅ケアの拠点こそ災害時にも機能する」 

  

      【講師】 三重県 紀宝町立相野谷診療所 森本 真之助 先生

     

 

第2部 多職種で乗りこえよう、

災害対応メディカルラリー 14:30~

    

大災害発生時、在宅で関わるあの人をどうケアする?

      様々なフェイズ・場所の災害を想定し、多職種で話し合いながら、どうその人を支えるか、考えてみましょう。

                   

第3部 圏域別グループワーク 15:30~

     わが地域の災害時多職種ケア継続プランを考えてみる

 

      災害時の協力体制について、同じ圏域で在宅ケアに携わっている多職種で、ハザードマップ等から現状を見直しましょう。

 

 

 

16:25~ 閉 会 あいさつ  花戸 貴司 企画委員会顧問

 

16:30  閉 会

 

 


 第9回 在宅医療多職種キャリアアップ研究会 報告

 

参加者

委員

雨森支部長、花戸顧問、辻委員、楠神委員、西井委員、 新村委員、前田委員、森委員、澤谷委員、奥邨委員、沖山委員、山中委員、亀田委員 嶋林、佐々木 

 

1300

 ①    雨森支部長、あいさつ

 ②    滋賀県健康医療福祉部医療福祉推進課長 飯田朋子 氏 

 

1305

 ③    第一部講演 地域医療と防災でまちづくり

普段使いできる多職種連携在宅ケアの拠点こそ災害時にも機能する

紀宝町立相野谷(おのだに)診療所森本真之助先生

 

2013年自治医科大学卒業、伊勢赤十字病院で初期研修。2015年より紀南病院に勤務。救急・災害対策委員長として災害拠点病院の指定。三重県から地域災害医療コーディネーター、統括DMATに任命される

 

『普段使い出来る災害時に役立つスキル』と『紀宝町におけるまちづくり事業』についてお話しいただきました。

森本先生は、自治医大卒業後から病院救急に関わるなかで、地域の人との交流をはかっています。『地域医療を学べるまち、紀宝町』を掲げ、行政とともに紀宝町地域医療研修センターを設立し、全国から医学生や研修医の受け入れをしています。また、町の健康危機管理官として、南海トラフ大地震対策の取り組みや、コロナクラスター対策等にも貢献しています。住民と医療者、地元の学生が田植え等で交流する『おもしろ大学』という活動も牽引し、まちづくりに精力的にかかわっておられます。

 

 災害時に役立つことは、普段にも役だつもの。在宅医療の充実と、病院でない地域医療の拠点(なぜなら病院は災害時には自施設の維持で受け入れる余裕はそれほどない)の形成、そして、普段使いをしている地域医療と防災・災害医療を融合させる複合拠点つくりをすること。

 

そして、地域おこし協力隊との連携で、医療機関と行政が一体となった地域医療を実施することで、魅力を打ち出して、医療従事者を地域おこし協力隊として移住してもらうことにも成功している。防災をアートと融合したり、その地域出身ではないが医学生との『町公認』という形でつながりを強めてまちづくりに参加してもらったりしている。

 

紀宝町は、超高齢化、多死社会に向かいつつある中、南海トラフ地震では巨大津波が想定され死亡者も出るといわれ、多くの住民が日常的に「死」と向かい合っている。WHOが提唱していたHealth City は、1970年代であり、超高齢化とそのケアなどは想定していない状況。Compassionate Cityという、自分の、そして身近な人の死と喪失を体験するEnd of Life Careに普段から向き合い、住民が主体となって支えあえるコミュニティをつくる構想に、町として取り組み始めたという。先進的な取り組みに今後注目していきたい。

 

       第二部 多職種で乗りこえよう、災害対応メディカルラリー

大災害発生時、在宅で関わるあの人をどうケアする?

様々なフェイズ・場所の災害を想定し、多職種で話し合いながら、どうその人を支えるか、考えてみましょう。

 

滋賀県で震度8程度の地震が発生した想定で、個別ケアをどう組み立てていくか、をみんなで考えてもらった。 82歳女性、Omi八幡市在中、脳梗塞後遺症で右不全麻痺、屋内は杖歩行、認知力は 年齢相応以上で独居生活。震災後の3日後の避難所でのケース(医療的なケアと避難所生活のケア)と、3か月後の仮設住宅でのケース(社会的つながりと家族を含めた精神的ケア)。

本研究会の大きな特徴である、多職種でともに学びあうこと。そして10職種からなる集団であることを活かして、被災後の『様々な期間』と、『避難所なのか、家なのか』という状況をクロスして、それぞれの専門職から、行うことリストを作成してもらった。

まずは、参加者個人、グループでディスカッションしてもらった後に、その行うことリスト(多職種サバイバルカード)を提示して、さらなるディスカッションしてもらうこととした。参加者は、自分一人だと考えつかなかったことも、多職種ともに話すことで視点が広がり、さらに、サバイバルカードという知識をまとめたものがあると、一層高いケアが出来ることに気が付いてもらえた。

 

 

1545 休憩・席替え

 ⑤       第三部 圏域別グループワーク

わが地域の災害時多職種ケア継続プランを考えてみる

 

 参加者を地域別に座ってもらい、実際にどう動くのか、何か決まっていることがあるのかをディスカッションしてもらった。やはり、大規模災害時には、すぐには病院が機能しにくいことが、第一部の講演であったように話されたところもあった。滋賀南部では、医師が京都や遠方から来ている病院があり、通勤が困難なことが予想されること。また、北部では、自然災害のほかに、原子力災害も想定したディスカッションがあったことが印象的だった。

 

1625

       終わりに 花戸顧問

 

   以 上